映画『ソイレント・グリーン』鑑賞

リチャード・フライシャー監督の『ソイレント・グリーン(Soylent Green)』(1973年)を観ました。人口爆発後の食糧危機を描くSFで、50年ほど前に撮られたにもかかわらず現代人にとっても無視できない問題を扱っており、示唆に富む作品でした。舞台となっているのは2022年のニューヨークです。実際に1年後のニューヨークが本作で描かれるような惨状を呈してはいないと思いますが、撮影当時には50年後の地球の姿として現実味をもって描かれたのだろうと思います。

本作では、政府と結びついた食糧会社(ソイレント社)が、食糧がほとんど採れなくなった世界において、海のプランクトンからつくったサプリメントを人々に配給する様が描かれます。牛肉などは一握りの金持ちが大金をはたいても簡単には手に入らない希少品で、一般人からしたら一生に一度お目にかかれるかどうかという貴重品です。現実の2022年にはこうした世界は訪れそうにありませんが、21世紀のうちに似たような世界が到来する可能性はあるのではないかと思います。

それは気候変動や異常気象によるかもしれないし、大気汚染や放射能汚染によるかもしれないし、食糧生産を担っている南側諸国(グローバル・サウス)の叛乱によるかもしれません。そうした場合に、特に食料自給率の低い都市国家は、食糧難のあおりをいち早く受けることになるでしょう。そうなる前に、私たち先進諸国民は、地球に過剰な負荷をかけるような生活様式を見直さなければなりません。さらには一次産業に対する考え方も問い直す必要があるでしょう。残された時間は長くはなさそうです。