『ブラッド・ダイアモンド』鑑賞

エドワード・ズウィック監督の『ブラッド・ダイアモンド(Blood Diamond)』(2006年)を観ました。ダイアモンドという奢侈品に代表される先進国民の過剰な消費欲求が、途上国での紛争を招く様を描く、示唆に富んだ作品でした。観るのは初めてではありませんが、それでも心を揺さぶられました。ただ、これがそれほど昔の話ではないということに心が痛みました。この映画の舞台となるシエラレオネは、実際に1991年から2002年まで内戦状態にあったのです。

この映画は、「ダイアモンドなんて奢侈品をなんで欲しがるの?」という気持ちを観客に抱かせることを目的として作り込まれているように思いました。僕も観終えた後には、先進国民の過剰な消費欲求に、いつにもましてうんざりしました。でも僕自身もいくら善人ぶったところで、先進国でのうのうと生きている限り、この資本主義社会に加担しているのです。

本作では、ダイアモンドという日常生活には不必要な奢侈品を題材にしているので、ダイアモンドを買うような富裕層に批判の矛先が向かいがちですが、途上国に貧困や紛争をもちこむ原因は奢侈品だけにあるのではありません。私たち先進国民の日常に欠かすことのできない衣服や食料も、その多くは人件費の安い途上国からの輸入品であることを忘れてはいけません。私たちはこの社会の仕組みから逃れることができないのです。格差解消のためにできるのは、なんとか資本主義を是正していかねばなりません。